【設立趣旨】

 本会は国際基督教大学の学部あるいは大学院に学んだ者で、物事の哲学的な取り組みに深い関心と問題意識を持つ者たちの学びと交わりの会である。哲学の専門研究者がその専門研究の成果を発表し、討議を通じて学識を深める研究会は極めて大切であるが、しかし哲学の本来の意義が、「あらゆる人がそれに関心を抱かざるを得ない事柄」とカントのいうその世界概念にあることは否定できない。その意味で、我々は哲学をもっとも広い、そして基本的な意味で受け止めたいと願うのである。哲学の学問的研究を尊重しつつも、哲学が哲学である以上、原理的な問題に関心を持つすべての人々にとって開かれた理論的討究と実践の探究の場を求めたいと願うのである。

 本会では哲学を物事に取り組む際の態度、一種の姿勢として受け止めたいと考える。哲学は何と言っても特定の対象やその領域に限定されない知識、認識の探究であり、何よりも知の原理の探究である。その限りそれは何らかの原理を前提し、そうしたものを用いた探究とは明確に一線を画すものであるだろう。原理の探求は、場合によっては価値観の探求とか世界観の探究と言い換えることも可能であるが、厳密には、その際暗黙に前提されてしまう原理に対して十分に批判的でなければならない。原理の探究という根本特徴に忠実であろうとするならば、そこで探究される原理を見出すための原理(あるいは基準、尺度)は予め与えられたものではあり得ないであろう。「それによって」間違いなく問題事象に決着付けることが出来るような原理を、いかなる意味でも予め所有していないという自覚から出発する、そうした心構えが哲学の探求には必要なのである。以上簡単に述べた意味において、哲学はア・プリオリ(a priori)の探究とも能産的自然(Natura naturans)の解明とも言うことができるであろう。そのような探究は容易に主観的、恣意的になりうるものであるが、必ずしもそうなるとは限らない。この点に関して、徹底した自己吟味とある種の相互信頼を持ちえることが、相互の交流と自己に対する根本的疑問を維持し、この会を生き生きとした場として保ちえる基礎になると我々は考えたいのであり、そうした姿勢を共有しようと呼びかけるものである。

 たとえ我々の探究の歩みが遅々たるものであり、目に見える成果をすぐに示しえないにしても、真剣な共同の探究の経過が継承され、共同性が生育していくことを信じたいと願うものである。

 以上の趣旨に賛同される方々は、積極的に事務局までご連絡下さい。

【規約】

 

制定 平成21年8月
改定 平成25年3月
改定 平成30年3月
 

(名称)
第一条
本会は「ICU哲学研究会」(ICU Society for Philosophical Studies)と称する。

(目的)
第二条
本会は哲学の研究および相互啓発の促進を目的とする。

(活動)
第三条
本会は前条の目的を達成するために次の事業を行う。
(1)総会、研究会、講演会、シンポジウムなど。
(2)研究奨励。
(3)その他本会の目的達成のために適当と認められる事業。

(構成)
第四条
本会は次の者をもって組織する。
(1)ICU専任教員および元専任教員のうち、本会の趣旨に賛同する者。
(2)ICU学部または大学院に在籍中およびかつて在籍した者のうち、
   本会の趣旨に賛同する者。
(3)本条(1)に規定する者が推薦する者。

(運営)
第五条
本会の運営は総会ならびに運営委員会による。

(総会)
第六条
本会に総会をおく。
(1)総会は活動予定、予算案、決算報告、規約改廃を審議し決議する。
(2)総会は定例総会の他必要があるときには運営委員会が臨時総会を召集する。

(運営委員会)
第七条
本会に運営委員会をおく。
(1)運営委員は第四条(1)に規定される者およびその推薦を受けた者とする。
(2)運営委員の互選により代表1名、事務局長1名、初期若干名を定める。
   ただし事務局長はICU専任教員から選任する。また事務局長は会計を担当する。
(3)運営委員の任期は2か年とする。ただし再任を妨げない。
(4)運営委員会は代表が随時これを召集する。
(5)運営委員会は総会での審議に先立って総会議案、事業計画、予算案、
   細則策定などを取扱う。

(会計監査)
第八条
本会に会計監査2名をおく。
(1)会計監査は運営委員会が選出する。
(2)会計監査は本会事業年度の会計監査に関する事項を取扱う。
(3)本会の会計は会計監査を受け、定例総会において決算報告、予算案を
   審議しなければならない。

(会費)
第九条
運営委員は運営委員会が定める年会費を納入する。

(経費)
第十条
本会の経費は参加費、運営委員会等から徴収する年会費、補助金、寄付金および
その他の収入をもってこれに充てる。

(事業年度)
第十一条
本会の会計年度は毎年4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。

(事務局)
第十二条
本会は事務局を事務局長の研究室内におく。

(規約の改廃)
第十三条
本規約の改廃は総会において三分の二以上の賛同をもって、これを行うことができる。

附則
(1)この規約は平成21年8月より施行する。
(2)この改定規約は平成25年3月より施行する。
(3)この改定規約は平成30年3月より施行する。