特別展予定

特別展示室では、収蔵資料をもとにした企画展が、年に3回開催されています。テーマは民芸や考古学に関連したものが中心ですが、その他にも皆様に楽しんでいただけるよう幅広くテーマを選んでおります。



2025年度特別展
● 食の器と道具
2025年 4月 8日 – 2025年 6月 20日


● サステイナブルな暮らし(仮)
2025年 9月 – 2025年 11月

● ことばあそび・ごろあわせ(仮)
2026年 1月 – 2026年 3月

2024年度特別展
● 江戸時代のよそお
2024年 4月 9日 – 2024年 7月 4日 (終了しました)

江戸時代の化粧は白粉(おしろい)の「白」、唇に引いた「紅」、そして黒髪やお歯黒の「黒」に象徴されると言われ、本展示では、その化粧を施すために使われた道具類や調度を当館コレクションから約148点選び展示いたします。湯浅八郎博士は生前、多くの民芸コレクションを収集し当館に寄贈されましたが、その中には江戸から明治にかけて使用された整髪油を入れる小さな油壺(あぶらつぼ)、銅製の柄鏡(えかがみ)、櫛(くし)や笄(こうがい)など、粧いの道具も含まれています。

今回の特別展ではそれらに加え、今では珍しくなったお歯黒道具、髪結いが携える道具箱の鬢盥(びんだらい)、紅化粧を施すための筆や紅入れ、化粧道具を収納するための鏡台や手箱を展示いたします。庶民が日常生活で使用したシンプルな黒塗りのものから婚礼調度として誂えた豪華な蒔絵の鏡台や化粧道具一式を通して、江戸時代の化粧文化の一端をご紹介できれば幸いです。


* 5月11日開催の公開講座「江戸の衣装革命」 録画動画を公開しました![詳細はこちら]


● 野川中流域の旧石器時代―ホモサピエンス 氷期の暮らし
2024年 9月 10日 – 2024年 11月 14日 (終了しました)

本展示では、日本有数の旧石器時代遺跡の密度の高さで知られる野川流域の暮らしを取り上げます。特にICU キャンパスのある野川中流域は、X層という日本列島最古級の時代から、Ⅲ層という旧石器時代終末期までのほぼすべての層より、資料が豊富に出土する地域として知られています。今回、この地域の資料を集成し、層位と地点により大きく異なる石器の違いが何を意味するのか、また間氷期と氷期の環境変動のはざまに生きた人類の具体的生活の営みについて、一般向けに分かりやすく解説します。

* 9月21日に公開講座「野川中流域の旧石器時代 人と文化」を開催します。[詳細はこちら]


● おどろきたくさん明治時代 浮世絵に見る新しい文化との出会い
2025年 1月 7日 – 2025年 3月 6日 (終了しました)

江戸時代に代わって幕を開けた明治時代(1868–1912)は、日本が新たな文化や価値観と出会った時代です。幕末の開国を経て明治維新が起こり、一国家として欧米列強との対等な外交を目指す中で、様々な分野で西洋文化の積極的な受け入れ、すなわち文明開化が進められました。

政治的・社会的な変革の渦中で、また新しい文化が流入するなかで、その時代を生きた人々はどのようにそれらの変化を受け止めたのでしょうか。本展では、江戸時代に誕生し明治時代にも引きつづき親しまれた情報メディアである浮世絵を取り上げ、一般の人々の新たな文化への興味関心の様子や、その時代背景をご紹介します。また一角には、当時の日々の生活を思わせる日用品を展示しました。明治時代を生きた人々が感じたであろうたくさんのおどろきに思いを馳せるとともに、時代を映す浮世絵の面白さをお楽しみいただけますと幸いです。

* 1月25日に公開講座「諷刺画が語る日本と西洋の出会い」を開催します。[詳細はこちら]

過去の特別展

2023年度特別展
● 湯浅八郎・民芸の心
2023年 4月 11日 – 2023年 7月 7日 (終了しました)

日米の有志とともに「明日の大学」の理想を掲げ、国際基督教大学(以下ICU)設立に尽力した初代学長湯浅八郎(1890‒1981)は、米国生活から戻り京都帝国大学の教壇に立っていた40歳の頃、柳宗悦の民芸運動に出会い深く共鳴、自らも素朴な手仕事の品々の収集を始めました。

その民芸コレクションは晩年ICUに寄贈され、1982年に開館した湯浅八郎記念館に引き継がれています。昨年開館40周年を迎えたことを記念する本展では、湯浅八郎が人間としての生き方の指針を手繰り寄せる縁(よすが)に据えていた民芸を通して、その「心」をひもときます。


● 円の競演 鐔と絵皿
2023年 9月 12日 – 2023年 11月 9日 (終了しました)

本展では資料のかたちに着目し、「円」の形状をテーマに、収蔵品のうち近年まとまった展示機会が少なかったつばと絵皿を主に紹介いたします。

展示は二部構成で、前半では「円」の形状である鐔と絵皿とともに、鐔や絵皿が登場する役者絵・おもちゃ絵などの幕末・明治の浮世絵を展示いたします。後半では、鐔と絵皿以外の「円」の形状や図柄の資料を展示いたします。

本展で主に取り上げる鐔と絵皿は、基本のかたちが円であるほか、似通う要素は多くありません。鐔は刀剣に取り付ける金工品、絵皿は日常生活の中で飾りや食事に用いられた陶磁器。素材はもとより、主な使用者や使用が想定される場面など、多くの部分が異なります。しかし同じかたちだからこその共通点もあり、そのひとつが、限られた円形の空間での装飾や表現が求められたことです。円の形状を活かして、あるいはとらわれずに、鐔と絵皿のそれぞれで技と工夫を凝らした多種多様な表現が生み出され、使用する人々の暮らしを彩りました。

素材も用途も異なる多くの「円」が集う本展では、様々な差異を越えて、かたちを通じて響きあう空間をお楽しみいただけますと幸いです。


● 型紙 精美なる技
2024年 1月 9日 – 2024年 3月 14日

型紙とは、柿渋で防水加工を施した和紙に文様を彫り抜いた、染色で使う道具です。生地の上に型紙をあて、粳米の糊を置いてから染めて糊を洗い落とすと、糊の部分が防染されて文様が白く染め残ります。型紙の手法は主に江戸小紋や型友禅、中形と呼ばれる木綿の浴衣地に模様をつける際に用いられました。その歴史は古く、鎌倉時代には確立していたと言われています。

通常は一枚の型紙を順次移動させて一反分の連続模様をつけますが、複雑な文様を複数枚の型紙に彫り分けて組み合わせる二枚型や三枚型もあります。文様の彫り方には突彫、錐彫、引彫、道具彫があり、それぞれの文様に適した道具と技法を用います。また柄を固定するための糸入れも、非常に高度な技術です。江戸時代中期に紀州藩の保護を受け、伊勢湾沿岸の白子・寺家一帯(現在の三重県鈴鹿市)が一大産地として「伊勢型紙」を広めたほか、京都や江戸、会津で制作された型紙も各地に残っています。

特別展「型紙 精美なる技」では、今に守り受け継がれてきた高度な彫りの技術と、型紙の文様の多様さに焦点を当ててご紹介いたします。


◎特別展に関連して、公開講座をオンラインで開催します。 【詳細はこちら】

過去の特別展および公開講座のポスターアーカイブ

展示内容、ポスター等一覧